降雪などで交通網などが混乱した東京都心。この日、都心では23cmの降雪があった。(22日、東京都千代田区)
降雪などで交通網などが混乱した東京都心。この日、都心では23cmの降雪があった。(22日、東京都千代田区)

 東京電力パワーグリッド(PG)は1月23日夜、寒波による気温低下などの影響で同社エリアの電力需給が逼迫しているとして、電力広域的運営推進機関(広域機関)に他電力会社からの電力融通を要請したと発表した。23日夜に最大150万キロワット、24日も最大200万キロワットの広域融通を受けた。東電エリア向けに広域融通が行われるのは、2015年4月以来2年9カ月ぶりとなる。22日の大雪の影響で太陽光発電の出力が見込めず、揚水発電も発電可能量が減少した。

 東電PGは23日、翌24日のピーク(午後6時台)見込み4952万キロワットに対し、供給力5千万キロワット、予備率1.0%との厳しい需給を予測し、広域機関に電力融通を要請。最大200万キロワットの供給を受けることで供給力は5121万キロワットとなり、予備率は3.4%まで回復した。その後、24日午前8時30分時点の想定では、揚水発電出力の回復などを織り込み、供給力5188万キロワット、予備率5.6%となった。

 東電PGの要請を受け、広域機関は23日午後9時30分に、まず東北と中部に対し、午後10時から2時間、最大で150万キロワットを融通するよう指示した。24日に向けても融通指示は2回行われた。最初は23日午後10時48分に、24日の午前0時~6時の間、最大200万キロワットを融通するよう東北、中部に指示。続いて24日午前1時51分には、同日午前6時以降、最大200万キロワットを融通するよう北海道、東北、関西、中国、九州に指示した。

 東電PGは22、23日にも予備率が5%以下となり、節電の呼び掛けを行っている。22日の大雪で太陽光パネルに積雪したため、太陽光発電出力が低下。揚水発電による需給調整が増えたことで、上部ダム貯水量が低下し、発電可能量が減少した。

 東電PGは今回の融通要請と今後の見通しについて、「24日の需給対応に加え、25日以降も寒波の影響が続くことから、揚水の発電可能量を回復させる必要があった。太陽光については融雪が進むにつれ、出力増が見込まれる」と説明。供給力確保に全力を注ぐ方針だ。

電気新聞2018年1月25日


<参照>
2018年1月29日

東電PG、4日連続で融通受電/厳しい寒気で需給逼迫