IHIが転用へ技術検討着手

 
 IHIは25日、ガス火力発電所近傍に立地するLNG受け入れ基地を、燃料アンモニア受け入れ基地に転用するための検討に着手したと発表した。火力発電の脱炭素化へ燃料アンモニアの本格利用が期待されている。既設設備を生かすことができれば、土地の追加取得が不要になる。コストや工期の面でも、設備を新設するより優位性が高いと見込まれる。2020年代後半の社会実装を目指す。

 これまで燃料アンモニア受け入れ基地の新設を念頭に技術開発を進めてきたが、既設LNG受け入れ基地の転用も検討対象に入れた。LNGタンクや桟橋のローディングアーム、燃料配管系統をアンモニア仕様に改造するイメージだ。

 アンモニアは腐食性が強い。IHIが保有する知見や材料に関する技術を用いて、設備を耐食仕様にする。また、アンモニアは毒性を有するため、設備からの漏えいを防ぐ改造も施して安全性を高める。

 具体的な受け入れ基地を想定した検討は、まだ始まっていないという。受け入れ基地への実装は国内外で幅広く検討していく。経済産業省・資源エネルギー庁は今後10年間程度で国内に水素・アンモニアの受け入れ拠点を8カ所ほど整備し、事業者を支援する方針を掲げている。

IHIは小型ガスタービン(GT)でアンモニア専焼の技術開発を成功させたほか、大型GTでも米ゼネラル・エレクトリック(GE)と共同で専焼技術の開発に着手した。石炭火力だけでなく、LNG火力への燃料アンモニア導入を提案していく。GE製GTが納入されている発電所近傍の受け入れ基地は有力な検討対象候補地とみられる。

IHIは国内でLNG受け入れ基地の約3割、LNG貯蔵タンクで約5割、設計・建設に関するシェアを持つ。世界最大級の容量25万キロリットルのタンクを建造した実績もある。

電気新聞2023年1月26日