中部電力と中部電力ミライズは25日、米アプライドマテリアルズなど6社と連携し既設水力発電所を改修、増加した発電電力量分を含めて販売する取り組みを始めると発表した。6社はコンソーシアムを形成し、対象発電所の選定に参加。再生可能エネルギーの発電量増加分は「追加性」への対価を上乗せして販売する。この仕組みを第1弾として中部電力大井川水力(静岡県川根本町、6万8200キロワット)1号機の改修に適用する。

 グローバルで再エネ導入を進める欧米企業などは、新規開発や改修などで再エネの実質的な普及拡大につながる「追加性」を重視するケースが多い。中部電力はこうした需要家に対し、改修・高効率化で発電電力量の増加(増電)が見込める水力を提案。需要家は自社の追加性条件を踏まえ、計画段階で対象選定に参加する。

 今回、アプライドマテリアルズや米マイクロン、米スカイワークスなどがコンソーシアムに参加。中部電力、中部電ミライズと「ユーザー参加型の再エネ拡大モデル」の構築で基本合意した。

 大井川水力1号機の改修では高経年化が進む水車ランナーを変更することで、発電効率が向上。工事が完了する2025年度以降に年間約190万キロワット時の増電を見込む。コンソーシアムはこの増電分について、追加性への対価を上乗せした価格で中部電ミライズから購入する。

 中部電ミライズは中部エリア5県の「地産Greenでんき」を販売。収益の一部を各県内を中心とした再エネ電源の維持・拡大に活用している。一方、今回のモデルではあらかじめ特定した電源の改修・増電で追加性を担保。中部電力は「コンソーシアムが再エネ拡大に主体的に貢献できる仕組み」と説明する。

 中部電力グループは30年頃に再エネ320万キロワット以上の拡大に貢献する目標を掲げる。この一環として既設水力の増電やPPA(電力購入契約)を拡大しており、今回のモデルも活用していく。

電気新聞2023年1月26日