スマートフォンを使って充電、履歴も確認できる
スマートフォンを使って充電、履歴も確認できる

 中部電力など3社は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)の充電について、充電器の使用履歴をブロックチェーンで管理する実証実験を開始した。集合住宅向けサービスを想定しており、利用者はスマートフォンなどの操作で簡単に共用充電器を活用できる。集合住宅オーナーにとっては、充電の利用実態を把握でき、料金回収の目安にもなる。実車を利用する実験は2日まで実施。今後は課題抽出やサービス提供手法の検討を行う。

 実験は中部電力が全体の取りまとめを行い、ソフトウエア開発会社のNayuta(福岡市、栗元憲一CEO)がブロックチェーンに対応した充電用コンセント、インフォテリア(東京都品川区、平野洋一郎社長)が充電履歴の記録に関する技術を検証する。

 充電はスマートフォンにダウンロードしたアプリから充電用コンセントに指示を出し、認証されれば可能となる。充電用コンセントがあれば履歴管理できるため、初期費用も安価に抑えられる。また、ブロックチェーンを使用することで、履歴を改ざんされる可能性が低い。集合住宅オーナーにとっては改ざん後、勝手に充電されるリスクも減る。

 実験は中部電力技術開発本部(名古屋市)で実施。システムを実際に使用して、技術的な課題の抽出、事業性の評価を行う。

 中部電力は実験を通して、充電履歴システムの有効性を確認。将来的には集合住宅のオーナーから、新システムの利用料金を得るビジネスモデルも視野に入れる。

 中部電力技術開発本部研究企画グループ長の野田英智氏は、「今回の検証は最初のステップ。課題を見つけて工夫を重ねてサービスをより良くしたい」と話している。インフォテリアの平野社長は「電気という社会インフラにブロックチェーンを活用するのは世界でも見ない例」と、今回の実証の意義を説明した。

電気新聞2018年3月2日