中部電力と中部電力パワーグリッド(PG)は20日、スマートメーターの通信網を活用してガス・水道の自動検針などのサービスを提供する新会社を設立すると発表した。中部電力は2021年4月に中部エリアで自動検針サービスを開始。現在までにLPガス会社15社、約10万件に提供した実績がある。新会社は23年2月に設立し、4月に事業を移管。25年度に50万件の提供を目指す。自動検針専業会社の設立は大手電力では初めて。

 新会社「中電テレメータリング合同会社」はガス、水道の検針指示値やガス漏れ、漏水など警報情報の取得、ガスの遮断・復帰の制御が遠隔で行えるサービスを提供する。

 新会社設立後は水道や都市ガスなど、幅広い事業者に導入を働き掛ける。また、時間帯ごとの検針データを活用した高齢者の見守りやフレイル(虚弱)の検知、スマートフォンアプリから顧客が使用量や請求金額を一括で確認できるサービスも開発していく。

 中部電力は18年以降に、エリア内の自治体やガス事業者と連携して自動検針をはじめとするテレメーターサービスの実証実験を開始。さらに連携を拡大し、21年度に事業化した。LPガス会社を中心に導入が広がってきたため専業会社を設立。市場の拡大とサービス拡充に乗り出す。

 エネルギー・インフラの分野では少子高齢化に伴う労働人口の減少やIoT技術が進展。コスト低減を図りつつ検針や保安業務の高度化、検針データを活用したサービス向上が求められ、こうしたニーズに対応する。

電気新聞2022年12月21日