東芝エネルギーシステムズ(東芝ESS)は21日、岩石蓄熱技術を用いた蓄エネルギーサービス事業に関する実証を本格化すると発表した。東芝横浜事業所(横浜市)内に、熱容量約500キロワット時の試験設備を構築。中部電力や丸紅と共同で、経済性の評価やシステムの大型化に向けて検討していく。東芝ESSは蓄電池や水素と比べて安価にエネルギーを蓄えられる技術として注目。2020年代後半から国内市場の急拡大を見込んでおり、社会実装可能な技術としての確度を高めていくとしている。

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 実証は、環境省の22年度委託業務として4500万円の補助を受け、2023年3月まで実施する。代表事業者は中部電力。共同事業者の東芝ESSと丸紅を含めた3社は、21年度にも環境省から補助を受け委託業務を手掛けていた。

 東芝横浜事業所内に試験設備を設置し、実証を本格化する。電気ヒーターで電気を熱に変え、蓄熱槽の中に入れた岩石蓄熱材でエネルギーをためる。再生可能エネルギーの大量導入時の電力需給調整に生かせる技術として確立を目指す。

 岩石の熱から蒸気をつくって、蒸気タービンと発電機で発電する。従来技術を活用するため、既存火力発電所や自家用発電設備への導入を見込む。

 東芝ESSの調べでは、熱容量100キロワット時以上の岩石蓄熱試験設備は国内初という。実証で使用する岩石の種類は非公表。700度以上の高温を蓄熱できる試験設備を構築した。砕石やれんが、コンクリートなどの顕熱蓄熱材と比べ蓄熱密度を高くし、蓄熱槽の小型化につなげた。

電気新聞2022年11月22日