岸田首相が表明、総合経済対策に盛り込みへ
岸田文雄首相は14日、高騰が続く電気料金の負担軽減策について、来年1月以降の早期に新たな措置を導入する方針を明らかにした。同日夕、公明党の山口那津男代表と会談。政府が今月末に取りまとめる総合経済対策に、電気、都市ガス料金の激変緩和措置を盛りこむ方向で一致した。電気について首相は「料金請求システムを活用し、直接的かつ実感できる」形の措置を構築するとした。支援幅に関しては「来春に想定される平均的な(電気代)負担増に対応する額」と述べた。
山口代表との会談後、首相は記者団の取材に「電気料金はこれまで(燃料費調整制度の)上限などによって、欧州に比べ上昇を抑制できていたが、来春以降、一気に2~3割の値上げになる可能性がある」と説明。負担軽減措置を総合経済対策に盛り込む。都市ガスについては、導入時期や規模感を明言しなかった。
総合経済対策を巡っては今週から政府・与党で策定作業が本格化する見通し。自民党政務調査会の経済産業部会(会長=岩田和親衆議院議員)は14日、総合経済対策の重点事項にガス料金高騰対策を盛り込んだ。「ガスの特性も踏まえつつ、電気とのバランスを踏まえた対応を進める」と記載。負担軽減策について首相は「都市ガス」と言及したが、党内にはLPガスも対象にするよう求める声がある。岩田会長は都市ガス、LPガスを包括する形で「部会としての提言は“ガス”という文言で書き込む。スピード感が必要だ」など政府に検討を促す意向を示した。
電気については「料金負担の増加を直接的に緩和する思い切った対策を行う」とした。重点事項には再生可能エネルギーの最大限導入、系統用蓄電池の活用、安全最優先での原子力の最大限活用など「安定供給確保のための取り組みを速やかに強化する」と書き込んだ。
ガス料金対策を訴えてきた鈴木英敬衆議院議員は賛意を示す一方で、電気を含めた今回の対応は「あくまでも緊急措置」とも強調。原子力の最大限活用を促す料金制度を設けるなど、電力システムの抜本見直しを訴えた。
西村康稔経済産業相は14日の閣議後会見で、電気料金の激変緩和措置について「執行面の課題もよく踏まえながら、具体的な制度設計を急ぎたい」と述べた。
ガス料金の負担軽減策については「電力と異なり、原料のほとんどが長期契約で調達をされている。比較的調達価格の安定性が高い」と指摘。その一方で「現実は確かに上がっているので、今後の家計、企業の負担の状況も見ながら与党と調整する」との意向を示した。
電気新聞2022年10月17日