世界最大級のSEP船「BLUE WIND」

 

巨大風車搭載可能なSEP船「BLUE WIND」

 
 清水建設は、洋上風力発電施設の建設に対応する世界最大規模の自己昇降式作業台船(SEP船)「BLUE WIND」を完成させた。8千キロワット級風車なら7基、1万2千キロワット級風車なら3基分の全資材を一度に載せる搭載能力を備える。適用案件として来年3月からは富山県入善町沖で3千キロワット風車3基、7月に北海道石狩湾沖で日本初の規模となる8千キロワット風車14基の施工を予定している。同社は今後、大型化する風車に対応し、洋上風力施工の受注拡大を図る。

 国内のSEP船としては、五洋建設(揚重能力800トン)、大林組・東亜建設工業(同1250トン)、五洋建設・鹿島・寄神建設(同1600トン)に続く4隻目。これまでの3隻は全て船員が常駐しない非自航式で、目的地までロープなどで引っ張る船団が必要だった。BLUE WINDは日本初の自航式となる。

 ジャパンマリンユナイテッド(JMU、横浜市、千葉光太郎社長)に発注し、2020年から建造を進めていた。全幅50メートル、全長142メートルで世界最大級の搭載能力を有する。クレーンの最大揚重能力は2500トンで、高さは158メートル。1万5千キロワット級の大型風車の基礎や風車据え付け工事に対応し、厳しい気象条件にも左右されない作業環境を確保する。

SEP船「BLUE WIND」内部の様子

 石狩湾沖に設置する8千キロワット風車は、完成時点で国内最大規模の風車となる。清水建設と日鉄エンジニアリングによる共同企業体(JV)が施工を担う。運転開始は23年12月を予定している。

 他のSEP船ではタワー部を2分割にして搭載し、海上で組み立てる必要がある。基地港と施工海域の往復回数も多くなるため施工に4カ月ほどかかる。清水建設のSEP船を用いれば、フルサイズで一括搭載して運搬できるため、2カ月程度で施工可能。効率的に建設できる。

 清水建設の清水優・エンジニアリング事業本部長は「SEP船を有効に活用することで洋上風力建設工事のトップランナーを目指す」と意気込みを語る。

 6日にはSEP船を停泊していたJMUアムテック(兵庫県相生市、伊藤護社長)の事業所で命名式を執り行った。清水建設の井上和幸社長やJMUの千葉社長が出席した。

電気新聞2022年10月7日