断水が続くエリアで水の入ったダンボールを運ぶ中部電力の社員ら(9月27日夕、静岡市清水区)

 

中部電力が静岡市清水区で支援活動

 
 水よ届け――。台風15号の影響で24日から断水が続く静岡市清水区で、中部電力グループが飲料水の支援を始めた。27日、浜岡原子力発電所から災害備蓄用のペットボトル飲料水を断水エリアに運搬。地元の自治会や市の担当者などと連携を図り、3カ所に計6000リットル分の水を届けた。断水が長期化する中、現地では高齢者が給水所に来られない事例や給水容器の不足など厳しい状況が続いている。同社は各地の事業所から水を集め、総力を挙げて継続的に支援する方針を示している。(西村 篤司)

 同日夕、給水所が設置されている市の施設に、水を積んだ中部電力の大型トラックが止まった。住民が見守る中、社員約20人が声を掛け合いながら水が入ったダンボールを荷台から手際よく降ろした。地元自治会の関係者は「生活に必要な水がない状態が続き困っている中で、この支援は本当に助かる。今すぐ水を必要とする方を優先的に配布したい」と話していた。

 この日、浜岡では緊急時の資機材運搬用トラック2台に計500箱のダンボールを積み込み、約70キロ離れた清水区に向けて午後2時半頃に出発。緊急時即応班(ERF)の隊員が運転し、所員とともに向かった。

 断水エリアでは中部電力静岡支店(平松岳人常務執行役員・支店長)の社員がトラックを待ち構えており、到着後は計3カ所の配布先に運搬。荷降ろしの際は現地の状況に応じて息の合ったバケツリレーを繰り出すなど、連係プレーであっという間に作業を完了させた。

 清水区では大雨の影響で一部の取水口が機能停止となり、約6万3千戸で断水が発生。現地では中部電力パワーグリット(PG)清水営業所(山崎博光所長)が地域との窓口を担い、連携を図っている。今後は中部電力、中部電PG、中部電力ミライズの各事業所から水をかき集め、継続的な支援に努める。

 中部電力は「日頃からお世話になっている地域の皆さまに少しでもお役に立てればと考え、全社一丸となって水をお届けする」とコメントしている。

電気新聞2022年9月29日