関西電力は高圧スマートメーターから得られる使用電力量データを活用したエネルギーマネジメントサービスの販売を計画している。同社はスマートメーターで得たデータから、建物で使用した電力の用途を自動で推定できる手法を開発。これを用いれば事務所や店舗など業種を選ばず、設備の過剰利用やスイッチの切り忘れなど無駄な使用電力の発生要因が推定できる。データ分析作業の効率化や、電力量の計測にかかる初期費用削減が期待できる。中小規模の建物を持つ法人向けに展開したい考えだ。

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 従来、スマートメーターのデータからは総使用電力量しか把握できなかった。一般的に、建物のエネルギーマネジメントには使用電力量データを取得するための計測機器を設置する必要があり、建物によっては数百万円程度の設置費用が発生する。データ分析には建築設備に関する専門知識やスキルが必要で、時間がかかるという課題もある。

 開発した推定手法は、既存のスマートメーターからデータを収集するため計測機器が不要。総使用電力量を照明や空調、待機電力など用途別に分類できる。過去の使用パターンとの比較により抽出した過剰な使用電力は「残差」として分類し、設備の切り忘れや過剰運転など、残差の発生要因を推定する。

 数千件分のデータに基づき、建物の電力消費傾向も分析できる。コンビニなどの「年中無休タイプ」や飲食店などの「午後活動タイプ」といった複数の属性に分けられ、節電方法についてアドバイスを提示する。

 開発した推定手法は特許を出願中。まずはグループ会社を含む社有の建物約70地点で、この推定手法を活用したエネルギーマネジメントを順次展開する予定。

電気新聞2022年9月5日