太陽光パネルのリサイクルの制度化を求める声が強まっているが、課題も

 

迫る大量廃棄に備え

 
 使用済み太陽光発電パネルを巡り、リサイクルを促す制度の導入を求める声が強まっている。経済産業省などが事務局を務める再生可能エネルギー設備の事業規律を強化するための有識者会合では、2030年代に迎えるパネルの大量廃棄時代に備え、資源循環の「早急な制度的対応が必要」との意見が出た。委員は、パネルから再資源化したガラスなどの需要開拓も重要と指摘。リサイクル業者を支援するため、廃棄パネルの物量情報を関係機関や行政で共有する仕組みも必要と訴えた。

 「再生可能エネルギー発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会」(委員長=山地憲治・地球環境産業技術研究機構理事長・研究所長)で、太陽光パネルの廃棄、リサイクルに関する手法を議論している。

 6日の第4回会合では、これまでの委員の意見を踏まえて論点が整理された。廃棄物の回収、再資源化を効率化するために、リサイクル工場を太陽光発電所の集積地に立地するべきなどの意見が出た。廃棄処理の事業を地方における雇用創出の契機とする考え方も浮上している。

 委員が課題としたのは、現行で法的ルールが未整備なリサイクルの制度だ。環境省がリサイクルのガイドラインを18年に策定しているが、委員の大塚直・早稲田大学大学院教授は追加のリサイクル促進策を提案。「まずはメーカーに対して、パネル材料の表示義務化を検討するべき」と指摘。パネルは海外製品が多いため「材料表示は輸入業者にも対応を願いたい」と話した。

 リサイクルを促すには課題もある。環境省幹部は「リサイクル費用より廃棄費用の方が安い場合が多い。廃棄費用の積立制度が導入されるが、どうパネルをリサイクルの循環に乗せるか。リサイクルの低コスト化と発電事業者への意識付けが重要になる」との見方を示す。

電気新聞2022年6月9日