政府は7日、電力需給に関する検討会合(座長=松野博一官房長官)を開き、2022年度の電力需給対策を決定した。供給面では電源公募に加え、発電事業者に対し、電気事業法に基づく供給命令発出を視野に入れる。需要面は、15年度以来7年ぶりとなる数値目標がない節電を全国で要請。冬季に向け、電事法に基づく使用制限令発出も検討する。長期電源市場の創設や、LNGについて国の調達関与を強化するといった中長期的対策にも触れた。

 検討会合は、書面開催となった17年度以来5年ぶり。東日本大震災以降、毎年開いていたが、ここ数年は需給緩和などから開催がなかった。対策は、総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)電力・ガス基本政策小委員会で議論していた。

 今夏の電力需給は7月の東北、東京、中部エリアで予備率3.1%を見込むなど厳しい状況。さらに今冬は1、2月の東京エリアで予備率マイナスを見込むなど、非常事態となっている。

 供給対策では、昨冬初めて実施したキロワット公募を今年も実施するほか、追加的な燃料調達を促すキロワット時公募などで可能な限り供給力を積み増す。最終手段として、これまで発動実績がない電事法31条に基づく供給命令の発出にも言及。電力・ガス基本政策小委では取り上げなかったが、最後の手段として7日の対策に追記された。

 経産省によると、今後の燃料不足を懸念して出力を抑える火力事業者に対し、当日の電力需給逼迫をまず乗り越えるため、国が出力増などを命令する可能性があるという。

 燃料枯渇のリスクが高まっているため、今夏の節電要請は特定地域ではなく全国に出す。期間は7月1日~9月30日まで。太陽光導入拡大で日中の需給は緩和している。午後5時~午後8時頃の点灯帯を重点的な節電対象時間とする。計画停電発動に備え、一般送配電事業者の準備状況も確認する。

 萩生田光一経産相は7日の閣議後会見で、需給逼迫の要因を脱炭素化に伴う再生可能エネルギーの導入拡大だと指摘。「火力稼働率が低下し、休廃止が増加していることが背景にある」と述べ、可能な限りの節電を呼び掛けた。

 原子力については目新しい対策は盛り込まれなかった。東日本の原子力発電所がいまだ再稼働できない点に触れ「緊張感を持った対応をやって頂きたい」と事業者に要望した。

電気新聞2022年6月8日