米GE、独ユニパーと英GTCCで
米ゼネラル・エレクトリック(GE)は、独エネルギー大手ユニパーが英国で手掛けるガスタービンコンバインドサイクル(GTCC)方式のグレイン発電所(136万5千キロワット)で、水素混焼の実証試験に乗り出した。水素混焼率40%を目標に設定し、既存設備の改良点を探る狙いだ。3月に実証の実施について合意した。実証期間は1年半程度となる見通し。
グレイン発電所ではGE製ガスタービン「GT26」が3基稼働している。GEは中小型ガスタービンで水素専焼機を実用化しているが、今回は既設ガスタービンの混焼に関する知見を獲得するのが目的。改良点の特定に向けて、世界中のGEの生産・開発拠点に配置しているエンジニアリング、コンサルティングがチーム単位でプロジェクトに参加する予定だ。
GEガスパワーのマーティン・オニール戦略担当副社長は「既設コンバインドサイクル発電所の近代化を目指す」と話す。GEは水素燃焼に関して、100基以上のガスタービンによって800万時間以上、手掛けた実績を持つ。その累計発電量は約5300億キロワット時。
一方、ユニパーは35年までに欧州電力事業でカーボンニュートラルを達成する計画を掲げている。その取り組みの一環で、ロンドン北部に位置するエンフィールド発電所の発電効率を高めるためにGEと協業する関係にある。グレイン発電所はこれに続くプロジェクトとなる。
ユニパーは石炭火力発電所の閉鎖に加え、天然ガスと水素の混焼に力を入れる。「設備改善とネットゼロ実現プロジェクト」を担当するイアン・ロジャーズ氏は、「電力業界が今後10年間で二酸化炭素(CO2)排出量を削減していくには、ガスタービンを低炭素化するための投資が重要だ」とコメントしている。
電気新聞2022年5月27日