高圧新メニューは卸市場連動単価

 
 中部電力ミライズは20日、法人向け電気料金に新メニューを設定し、4月上旬から原則停止していた新規受け付けを再開する方針を明らかにした。高圧の新メニューでは電力量単価に日本卸電力取引所(JEPX)のスポット市場価格を反映。供給力の追加調達コストに合わせた料金とすることで、全ての顧客からの申し込みに対応する。同社は23日から新規契約を希望する顧客に案内や説明を行っていく。


 新メニューは基本料金と電力量料金、再生可能エネルギー発電促進賦課金で構成。このうち電力量料金の単価に、スポット市場の中部エリアプライスを反映する。具体的には時間帯ごとに月間平均価格を算定。昼間(午前8時~午後10時)、夜間(午後10時~午前8時)に加え、7~9月の夏季は昼間のうち重負荷時間帯(午前10時~午後5時)を分けて3区分とする。

 2021年度の実績に基づいて契約電力300キロワットで行った試算では、4~9月まで最終保障料金よりも新メニューが割安に推移。スポット価格が高騰した10月以降は逆転し、新メニューの方が割高となる。

 中部電力ミライズは23日から、新規契約の相談を寄せた顧客に対し電話などで案内を始める。新メニューの概要や市場価格の高騰リスクの説明、資料送付などには一定の時間を要するため、実際の契約は早くて6月上~中旬となる見通し。今回のメニューは高圧向けで、特別高圧など大規模な需要家は個別交渉となる。

 特高・高圧分野では燃料価格上昇に伴う卸電力市場価格の高騰と新電力の値上げ、事業撤退を受け、需要家が大手電力(旧一般電気事業者)との契約を希望する「戻り需要」が増加している。

 大手電力が確保済みの供給力を上回る需要を引き受ける場合、スポット市場などで追加調達が必要。従来の標準メニューでは実際にかかる費用を大幅に下回る水準となり、赤字となるだけでなく「不当廉売」に当たる懸念もある。

 これに関し、電力・ガス取引監視等委員会と公正取引委員会は3月に見解を公表。供給力の追加調達が必要な場合、標準メニュー・最終保障供給約款を上回る料金や市場連動型のメニューで契約を結ぶことは、独占禁止法上も電気事業法も問題ないとしていた。

電気新聞2022年5月23日