改正省エネ法などのエネルギー関係束ね法が13日、参議院本会議で可決、成立した。2050年カーボンニュートラル、温室効果ガスの30年「46%減」達成に向け、エネルギー需給構造転換を後押しする。需要家の非化石エネルギー転換や再生可能エネルギー出力制御の低減、水素・アンモニアの確保、利用などを促進。JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)は「エネルギー・金属鉱物資源機構」に名称が変わる。一部項目を除き、23年4月に施行される。
束ね法は、省エネ法、エネルギー供給構造高度化法、JOGMEC法、鉱業法、電気事業法で構成される。参議院経済産業委員会は付帯決議で、エネルギー安全保障や安定供給の取り組みとして、蓄電池の活用などに加え、ヒートポンプの導入拡大支援を明記した。
省エネ法は脱炭素を見据え、大きく変わった。同法上のエネルギーの定義を見直し、合理化対象に非化石エネルギーを追加。一定規模の事業者に対し、非化石エネルギー転換に関する中長期計画や定期報告を課す。上げDR(デマンドレスポンス)などを促進するため、電気事業者に対し需要最適化を促す料金整備の計画などを求める。今後、総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の省エネルギー小委員会などで詳細設計を進める。
高度化法は、非化石エネルギー源に水素・アンモニアが加わり、二酸化炭素回収・貯留(CCS)付き火力も高度化法上に位置付けられた。原子力、再エネと同様、証書化して小売電気事業者の非化石電源比率向上に利用できるようになる方向。詳細は告示などで定める。
また、JOGMEC法改正で、JOGMECの業務に洋上風力のための地質構造調査が加わる。水素・アンモニアの製造・液化、CCSなどが出資・債務保証業務の対象に加わった。鉱業法改正ではレアアースを鉱業権の付与対象に追加。経産相の許可がない採掘はできなくなった。電気事業法には、発電所休廃止の事前届け出制を設けて、公布から6カ月以内に施行する。大型蓄電池は発電事業に位置付けられ、系統への接続環境を整備する。
今回の改正では、脱炭素実現に向け、各法の名称が変わる。省エネ法は正式名で「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」だったが「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」となった。高度化法の正式名から「非化石エネルギー源の利用」が削除され、「エネルギー源の環境適合利用」を加えた。JOGMEC法は「独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法」から、「独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構法」に改め、組織名も変わる。
電気新聞2022年5月16日
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