ドイツ・ベルリンで23年稼働
独シーメンス・エナジーは、水素を作り出す水電解装置の量産工場をベルリンに建設すると発表した。約3千万ユーロ(約40億円)を投じて、1時間当たり300キログラムの水素を製造する水電解装置を生産する。新工場の稼働は2023年の予定。シーメンス・エナジーにとって、水電解装置を量産する初の拠点となる。新工場の稼働をてこに水素関連機器市場でのシェア拡大を目指す。
製造する水電解装置「Silyzer(シライザー)300」は容量1万7500キロワット級。将来は容量10万キロワット級の水電解装置も新工場で製造する予定。
新工場は容量ベースで年間数百万キロワット分の水電解装置を製造する。同社によると、この生産規模は同業他社を上回るという。工場では水電解装置の構成部品を製造し、最終組み立てはドイツ中西部のミュールハイムの拠点が手掛ける。
シーメンス・エナジーはこれまでドイツ中南部のエアランゲンの工場で水電解装置を生産していた。日本向けで初受注となった山梨県のP2G(パワー・ツー・ガス)プロジェクト向け水電解装置もエアランゲン市で製造する。
新工場は、ベルリン中心部のモアビット地域にある拠点内に設ける。3月31日に着工した。モアビット地域では六フッ化硫黄(SF6)ガスを使用しない遮断器などの送変電機器も製造する。新工場の稼働で、世界の水素供給事業者や水素ステーション向けに水電解装置を提供する。
シーメンス・エナジーは水素混焼が可能なガスタービンも開発、販売する。水素混焼を検討する発電事業者に水電解装置とガスタービンを提案し、温室効果ガスの排出削減を支援する。
電気新聞2022年5月6日