東芝エネルギーシステムズ、ENEOSなど7者は30日、川崎市の臨海部で水素を大規模に利用するための検討を始めたと発表した。7者は発電所や工場などを臨海部に保有し、水素の利用を見込んでいる。将来の水素需要を推計するとともに、利用量を増やす取り組みも検討。水素供給側の企業を巻き込んで供給量も増やし、臨海部を水素利用の拠点としたい考えだ。

 検討には、川崎市と旭化成、味の素、JR東日本、昭和電工も参加する。

 川崎市は2013年に川崎臨海部水素ネットワーク協議会を立ち上げた。電力会社やガス会社、石油会社、電機メーカーなどと共同で、水素ネットワークの構築策を検討してきた。

 今回検討に参加する7者は、需要家の視点で水素利用の拡大方法などを協議。水素供給事業者やメーカーとも連携し、供給量拡大に必要な取り組みを整理する。

 東芝エネルギーシステムズは川崎市臨海部の浜川崎工場で水素燃料電池システムを製造する。自社工場での水素利用を検討するほか、近隣企業や自治体に燃料電池などを提案し水素利用を増やす。ENEOSは川崎市の製油所で、石油の精製に水素を用いている。既存水素パイプラインを生かして供給量拡大に貢献する考え。

 川崎市臨海部を巡っては、川崎市が環境負荷の低い「カーボンニュートラルコンビナート」化を検討している。東芝エネルギーシステムズなどと連携し、水素供給の拠点化も目指す。

電気新聞2022年3月31日