九州電力、日本郵船、伊藤忠エネクス、西部ガスは29日、船舶にLNG燃料を供給するバンカリングを九州・瀬戸内地域で事業化すると発表した。4社が2月に設立した合弁会社のキーズ・バンカリング・ウエスト・ジャパンが同日、LNGを船舶に供給するために必要となるバンカリング船1隻の造船契約を三菱造船と結んだ。4社は合弁会社を事業主体として、2024年の事業開始を目指す。
同日、都内で4社の社長が会見した。九州電力の池辺和弘社長は、「船舶の燃料が重油からLNGへ転換されれば、(海運などの)低・脱炭素化に貢献できる」と、今回の事業の意義を強調。「港湾の国際的な競争力強化が図れる」とも指摘した。
キーズ・バンカリング・ウエスト・ジャパンには、九州電力と日本郵船がそれぞれ40%、伊藤忠エネクスが15%、西部ガスが5%出資。本社は北九州市に置き、代表には九州電力の満吉隆志・企画・需給本部エネルギー取引部長が就いた。
燃料となるLNGは九州電力が、グループの北九州エル・エヌ・ジーが北九州市に持つLNG基地を活用して供給する。将来的には西部ガスのひびきLNG基地(北九州市)からの供給も検討する方針だ。
燃料の主な供給先は石炭や鉄鉱石、自動車の外航運搬船を見込む。また、内航輸送により、工場などの需要家にもLNGを供給したい考えだ。
バンカリング船は24年3月の竣工を見込み、LNGの積載容量は3500立方メートルとなる予定。西日本で稼働する初めてのバンカリング船となる見通しだ。
キーズ・バンカリング・ウエスト・ジャパンは今月、国土交通省がLNG燃料供給施設の形成を支援する補助事業にも採択されている。
電気新聞2022年3月30日
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