関西電力は25日、「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けて定量的な目標や具体策をまとめた工程表を発表した。当面の目標として発電による二酸化炭素(CO2)排出量を25年度に13年度比半減や、関西エリア全体のCO2排出量を30年度までに20年度比700万トン削減と設定。その達成に向けて40年までに、国内では洋上風力を軸に再生可能エネルギーの新規開発などに1兆円規模を投じる。原子力も最大限活用し、水素などを燃料とする「ゼロカーボン火力」の推進や同社グループの各種サービスの提供により、自社と関西エリアの目標達成から、“50年脱炭素”へとつなげる。

 関電は21年2月に50年脱炭素の方向性を示した「ゼロカーボンビジョン2050」を策定。今回、ビジョンを実現するための定量的な目標と具体策や実施時期を網羅した工程表を「ゼロカーボンロードマップ」として取りまとめた。

 ロードマップには50年に事業活動に伴うCO2排出をゼロとするため、当面は発電による排出を25年度に13年度比半減という目標を設定。その達成には2500万トン以上削減する必要があるため、まずは原子力を最大限活用する。中期的には40年までに1兆円規模を投資し、洋上風力をはじめ国内で500万キロワットの再エネを新規開発する。

 火力は発電所の改造やリプレースによって、30年頃に水素などの混焼を目指す。舞鶴発電所で取り組む国のCCUS(二酸化炭素回収・利用・貯留)実証にも引き続き協力する。

 需要面では家庭や法人、自治体なども含めた関西エリア全体のCO2排出削減に貢献するため(1)省エネ(2)電化(3)創エネ(4)オフセット――の各分野で、関電グループの多彩なサービスをパッケージで提供。顧客や社会の脱炭素を支援する。同社グループの社有車5千台超を30年には全て電動車にする施策なども盛り込んだ。

 長期的な施策では次世代軽水炉やSMR(小型モジュール炉)、高温ガス炉などの検討を進めることで新増設やリプレースを目指すと記載。原子力の電気や高温熱で水素を製造する「原子力水素」に取り組む方針も示した。

電気新聞2022年3月28日