政府は空港の脱炭素化に向けた取り組みを促すため、航空法などの改正案を今国会に提出する。空港周辺で使われていない土地や庁舎などの建物に民間事業者と自治体が太陽光パネルを設置できるようにする。空港周辺は建物の高さ制限があり、太陽光発電の導入余地がある。法改正することで再生可能エネルギー電源の拠点として利用できるようにする。改正案は3月上旬に国会へ提出する見通し。

 政府は2030年度までに各空港で温室効果ガス排出量を13年度比46%以上の削減を目指している。空港の施設や車両が排出する二酸化炭素(CO2)を年間30万トン削減することや、再エネの発電容量を230万キロワットに増やす目標も掲げている。

 国土交通省は昨年3月に「空港分野におけるCO2削減に関する検討会」(委員長=山内弘隆・一橋大学名誉教授)を設置し、これまで4回にわたって空港の脱炭素化に向けた検討を重ねてきた。具体的な検討も行うため「重点調査空港」として21カ所の空港を選定。各空港の特性に応じて、太陽光発電の導入など脱炭素化に貢献する効果的な手法を検討した。

 国交省は21年度末までに空港全体に求める取り組み方針や工程表を策定。各空港の脱炭素化に向けた計画「空港脱炭素化推進計画」を検討する際に参考となるガイドラインも策定する。

 22年度には空港脱炭素化推進計画に記載するそれぞれの取り組みを実施する際に参考となるマニュアルも整備する。各空港はこの方針に従い、脱炭素化推進計画を作成。排出削減目標や具体的な取り組みなどを提示する。

 国交省は「空港分野におけるCO2削減に関する検討会」の下に、空港関係者と民間企業などで構成する協議会「空港の脱炭素化に向けた官民連携プラットフォーム」も設置。東京電力グループをはじめとした電力会社や電工会社、ゼネコンなどが名を連ねた。それぞれの情報を共有することで協力体制を構築する考えだ。

 2月4日に開催した同検討会では国内10カ所の空港で太陽光パネルの導入余地を調査。太陽光パネルと蓄電池を合わせて導入した場合、7空港で年間電力需要の8割を再エネ由来の電力で賄えると報告した。導入時の事業採算性についても、一定の条件下で確保できることを確認した。

電気新聞2022年3月1日