田口安全規制管理官(右)から許可書の交付を受ける大元東京支社長(15日、規制庁)

 原子力規制委員会は15日、中国電力島根原子力発電所2号機(BWR、82万キロワット)の原子炉設置変更許可を正式決定した。全国17基目、BWRでは5基目となる。中国電力は2013年12月に島根2号機の原子炉設置変更許可を申請。そこから約7年9カ月の期間を経て「合格」にたどり着いた。合格は東北電力女川原子力発電所2号機以来、約1年半ぶりとなる。同日、中国電力の大元宏朗執行役員・東京支社長が原子力規制庁の田口達也安全規制管理官から許可書を受け取った。大元支社長は「審査では安全性について真摯にご議論を頂いた。設工認(設計・工事計画認可)、保安規定の審査についてもしっかりと取り組む」と語った。

 規制委による原子炉設置変更許可の審査では、敷地の約2キロメートル南側を東西に走る宍道断層の評価と、基準津波や基準地震動(Ss)の妥当性、防波壁の構造成立性などが主な論点となった。

 審査を踏まえ、中国電力は宍道断層の評価長さを約22キロメートルから約39キロメートルに変更。Ssの最大加速度は申請時の600ガルから820ガルに引き上げ耐震設計方針を策定した。基準津波は申請時の9.5メートルを11.6メートルに見直した。これに高潮や潮位の不確かさを加味した入力津波は11.9メートルとし、津波防護施設である海抜15メートルの防波壁の構造成立性も確認した。

 設置変更許可は再稼働に向けた節目の一つだが、島根2号機が再稼働するには後段規制の設工認や保安規定変更認可、使用前確認もクリアしなければならない。安全対策工事の完了や地元同意も必要となる。

 BWRは他社も含めて再稼働した事例がまだなく、中国電力には女川2号機の再稼働を目指す東北電力などとともにBWR陣営の再稼働をリードする役割も期待される。(2面に関連記事)

電気新聞2021年9月16日