総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)基本政策分科会(分科会長=白石隆・熊本県立大学理事長)は4日、次期エネルギー基本計画の素案について大筋合意した。経産省・資源エネルギー庁の修正案について、橘川武郎委員(国際大学副学長)が強く反対したが、おおむね委員の賛同が得られ、会長一任の結論を得た。国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)までの閣議決定に向け、今後パブリックコメントなどの手続きを進める。

 原子力立地自治体への配慮やカーボンプライシング(炭素の価格付け)などの文言について、加筆修正した素案をエネ庁が示した。一方、2030年の電源構成上の再生可能エネルギー比率「36%~38%」達成に向けた政策的裏付けはいまだ得られていない。橘川委員はこれに強く反発し、会長一任に反対する意向を示した。

 4日の会合では、再生可能エネ導入の裏付けを得るため、エネ庁が新築住宅のZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)導入を強化する方針を新たに示した。30年時点で新築住宅のフローで60%程度の太陽光パネル設置を目指す。現状の15~20%から大幅に引き上げる方針で、国土交通省などと連携して中小工務店の取り組みなどを促す。

 エネ庁によると、新築住宅は、大手注文住宅メーカーの注文戸建てが2割、中小工務店が5割、建て売りが3割となっている。大手メーカーの9割に太陽光が搭載されているが、中小工務店や建て売りは取り組みが著しく遅れている。今後、政策の詳細を詰める。

 4日の会合では発電コスト検証の結果も報告され、「統合コストの一部を考慮した発電コスト」(仮称)の重要性が共有された。

電気新聞2021年8月5日