東北電力は火力の脱炭素対応を強化する。新潟火力発電所では、水素・アンモニアを燃料に利用する予定だ

 東北電力は30日、温室効果ガスの排出削減に向け、発電過程で出る二酸化炭素(CO2)について、2030年度までに排出量を13年度比で半減する目標を発表した。これを実現する取り組みの一環として、燃やしてもCO2を出さない水素・アンモニアを新潟火力発電所の燃料に利用するなど、火力発電所での脱炭素対応を一段と強化する。

 東北電力が公表した今回のCO2削減策は、政府が掲げる「温室効果ガス46%削減」に対応する取り組み。

 同社は13年度の実績値としてCO2を4563万トン排出したが、これを30年度に半減する。これまでも幅広い対策の成果があり、19年度時点で排出量は3489万トンまで削減された。

 半減の目標と合わせて具体的な活動を発表した同社は、まず新潟火力5号系列で、水素・アンモニアを天然ガスと混焼する実証に取り組む。21年度に事業性評価を始め、24年度にプラントでの混焼を開始。燃焼の安定性などを検証する。

 能代火力発電所では「ブラックペレット」と石炭の混焼を実証する。バイオマス燃料のブラックペレットは、一般的な木質チップより、熱エネルギーが高い。ブラックペレットの原料になる植物(ソルガムなど)は、秋田火力発電所の遊休地を活用して栽培し、原料製造から混焼までの一貫した工程を確認する。

 また、火力発電から出るCO2を水素と結合してメタンにする研究を静岡大学と共同で進める。この結合に用いる水素は再生可能エネルギーを使って製造する。合成したメタンについては、天然ガスとの混焼燃料にして、再び発電所で使うことを目指す。

 同社は、こうしたCO2削減をはじめとするカーボンニュートラルを推進するため組織的な整備も実施。取締役会傘下の地球環境問題対策推進会議を「カーボンニュートラル・環境経営推進会議」、グループ戦略部門の環境ユニットを「カーボンニュートラル・環境戦略ユニット」にそれぞれ変更した。

電気新聞2021年8月2日