総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)基本政策分科会は30日、次期エネルギー基本計画の素案について、内閣府の再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース(TF)などから意見を聞いた。TFは2030年の再生可能エネ比率36~38%について「将来性の低い原子力や石炭火力を延命させるため、低く抑えられた」と主張するとともに、容量市場の凍結などを求めている。エネルギー政策の大原則であるS+3Eを無視した主張に委員から批判が相次いだ。

 TFは27日の会合で素案への提言を公表していた。原子力や石炭火力の高過ぎる目標値とのバランスの中で、再生可能エネが低く抑えられた可能性があるなどと基本政策分科会でも主張した。

 これに対し、隅修三委員(東京海上日動火災保険相談役)は「低く抑えるどころか、必要な積み上げすら見通せていないのが実態。変な憶測でなく現実に立脚した発信をして頂きたい」、柏木孝夫委員(東京工業大学特命教授)は「かなり偏ったことを言われている」と述べた。

 松村敏弘委員(東京大学教授)は、容量市場がなければ「スパイクが頻発する世界を許容することになる」と強調。TFのメンバーが昨冬の市場高騰を猛烈に批判したことと矛盾していると指摘した。TFの高橋洋・都留文科大学教授は、容量市場の代替策について「これが確実によいという案を持っていない」などと述べた。

電気新聞2021年8月2日