地熱発電電力を活用したグリーン水素製造実証プラント

 大林組は大分県九重町で地熱発電設備と水素製造の実証プラントを建設した。地熱発電の電力で水を電気分解し、燃料電池車(FCV)30~40台分に相当する毎時10立方メートルの水素を製造する。18日に運転を開始し、船舶用燃料電池システムの燃料として出荷した。大林組によると、地熱発電の電力で製造した水素を複数社へ供給する実証事業は国内で初めて。

 地熱発電設備の出力は125キロワット。地域へ電力を供給せず、水素の製造だけに用いる。増出力する計画は今のところ未定だという。

 実証プラントにはエネルギーマネジメントシステムを搭載。水素の製造量を最も多くしたり最安の単価で製造したりする複数の運転パターンを備えた。今後は様々な水素製造パターンを検証する。

 製造した水素はトレーラーに積んで九州各地へ搬送する。現在の供給先はトヨタ自動車やヤンマーパワーテクノロジー、水素ステーションなど5カ所となっている。

 トレーラーには衛星利用測位システム(GPS)端末を装着し、計画通りに搬送できているのか渋滞などで遅れているのかを把握。車両の搬送状況を見極めながら効率よく水素を製造する。

 大林組は2014年から水素に着目し建設業で培った技術を生かすことにした。川崎重工業と共に神戸市で水素コージェネレーションシステム実証実験を行ったほか、ニュージーランドで地熱発電由来の水素製造施設を稼働させるなど様々な取り組みを行っている。

電気新聞2021年7月20日