横須賀火力の現場を視察に訪れた太平電業の野尻社長(左)と東京エネシスの熊谷社長
 

 太平電業と東京エネシスはJERA横須賀火力発電所1、2号機の建設工事現場で、二酸化炭素(CO2)排出量を削減する共同プロジェクトを進めている。構内の移動と資材運搬用に使う電気自動車(EV)や電動フォークリフト、バッテリー式の溶接機などを導入。バッテリーの充電や休憩所などのエネルギーの一部は太陽光発電で賄う。1年間で一般家庭約90世帯分の年間排出量に当たる255トンの削減を目指す。

 横須賀火力は石油火力から高効率石炭火力への建て替えを進めており、1号機が2023年度、2号機が24年度に運開予定となっている。出力は計130万キロワット。太平電業と東京エネシスも工事に参画している。
 

電動車両やバッテリー式溶接機を導入

 
 世界的なCO2削減の動きを踏まえ、今年初めに両社のトップは横須賀火力の建設現場のCO2排出量削減に共同で取り組むことを決めた。

 年度初めにプランニングを開始。「太平電業―東京エネシスGreen Project」と銘打ち、6月から活動を本格化している。

 プロジェクトを実施するに当たり、両社はそれぞれEVを2台、電動フォークリフトを1台、バッテリー式溶接機を4台採用するなど電動器具の導入を進めた。

 太平電業は工事事務所付近の敷地約150平方メートルに出力計約15キロワットの太陽光発電施設を設置。器具の充電や休憩所機能を兼ねた「熱中症対策ハウス」で使う電気のほとんどは太陽光パネルで発電する。

 一方の東京エネシスは器具の充電などには系統の電力を使用する。熱中症対策ハウスのエネルギーは屋根に設置した太陽光発電施設でほぼ全てを賄う。今後は発電機やコンプレッサーに用いる軽油をCO2の排出量が少ないものに切り替えるなど、排出削減への取り組みを強化していく。
 

社内意識高揚し取り組み促進へ

 
 年間のCO2削減目標は255トン。横須賀火力発電所1、2号機建設工事で1年間に排出されるCO2の約4.5%に当たる。

 両社はプロジェクトを紹介するポスターを本社に掲示するなど、社内意識の高揚にも努めている。

 プロジェクト始動直後の6月17日には太平電業の野尻穣社長と東京エネシスの熊谷努社長が現場を視察。プロジェクトの進捗状況を確認した。

 プロジェクトは建設工事が完了する24年度まで続ける。両社は今後も共同で取り組む現場があれば、今回と同様の活動を実施したいとしている。

電気新聞2021年6月30日