関西電力は6月9日、VPP(仮想発電所)技術を活用し、需給調整市場で取引を開始したと発表した。昭和電工の事業所の自家用発電設備をリソースとして、関西エリアの10日向け3次調整力(2)の取引に千キロワット入札、落札した。関電はかねて独自開発のVPPシステム「K―VIPs」によるデマンドレスポンス(DR)で、需給調整市場に参入する方針を示していた。今回、市況やリソースを提供する顧客の環境が整ったことから初めて入札に参加した。

 10日の関西エリアは広い地域で晴天が見込まれ、太陽光発電が高稼働する見通し。一方で梅雨時は急速に雨雲が発達し、太陽光発電量が落ちるリスクもある。こうしたことなどから、調整力必要量は高い水準で設定された。一方のリソース提供側も生産計画を調整するなど、入札の条件が整っていたとみられる。

 VPPを活用した入札は、5月に東京電力エナジーパートナー(EP)が需要家のNAS(ナトリウム硫黄)電池をリソースとして実施しており、2例目とみられる。

 関電は近く、自家発設備と蓄電池をアグリゲート(集約)したリソースで入札する方針だ。

 まだ複数種のリソースを集約して入札した実績はないとみられ、実現すれば全国初となる。

電気新聞2021年6月10日