送配電網協議会は21日、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、送配電分野の次世代化を進めるためのロードマップを策定し、公表した。再生可能エネルギーが50年に、ピーク時出力比率で90%超になることを想定し、需給調整・系統安定化技術の高度化などに取り組む。同協議会の平岩芳朗理事・事務局長は同日の会見で、「国や電力広域的運営推進機関、関係団体などと連携し、電力ネットワークの次世代化を積極的に推進していく」と意欲をみせた。

 50年に向け、まずは系統混雑への対応を進め、次いで再生可能エネ主力電源化に向けた系統整備を推進。その後、需給調整・系統安定化技術の高度化にも本格的に取り組む。併せて、離島などでの再生可能エネの比率向上にも力を入れる。

 既存系統を有効活用した系統混雑への対応では、22年に再給電方式を導入し、20年代半ばには系統空き容量の見える化などで発電が多い地点に需要を呼び込む取り組みを進める。系統整備では、27年度までに連系線などを増強し、30年代には洋上風力の拡大に対応するため、長距離直流送電に取り組む。

 一方、再生可能エネのピーク時出力比率は、30年頃に40%超、40年頃に60%超に達すると想定。これに対応し、安定供給を維持していくためには需給調整や系統安定化技術の高度化が求められるため、様々な対策を進める。

 このうち、電力品質の維持に関しては、次世代スマートメーターの導入・活用を推進。また、グリッドコード(電力系統接続ルール)の整備に向けた検討などを進め、国による慣性力の調達方法の検討などに技術面から提案していく。

 ロードマップでは次世代型ネットワークの構築に向け、必要な政策も明記。多様な分散型リソースの活用拡大を実現するため、エネルギーマネジメントシステムやIoT(モノのインターネット)、人工知能(AI)の開発促進などに対する支援を求めた。

電気新聞2021年5月24日