経済産業省は21日、特別高圧の自家用電気工作物について、保安管理業務の外部委託を容認する方向性を示した。自家用の大型火力や、今後拡大が想定される洋上風力の本体設備・電源線を念頭に置き、7千Vを超える特高にまで外部委託の範囲を広げる。保安水準の確保に加え、社会的な保安管理コストの低減などにつなげる。また、これまで自主的取り組みに委ねていた50キロワット未満の小規模太陽光について、保安業務の外部委託などによる保安担保を検討する。

 今年新設した産業構造審議会(経産相の諮問機関)の産業保安基本制度小委員会(委員長=若尾真治・早稲田大学教授)で示した。小委では新技術の進展や人材不足、2050年カーボンニュートラルを踏まえ、産業保安に関する規制体系の在り方などを横断的に検討してきた。

 これまで高圧(7千V以下)の自家用電気工作物は外部委託可能だったが、特高は対象外だった。そのため、自家用大型火力の点検業務や保安管理は、自社の電気主任技術者の監督下で行ってきた。今後は、高度な保安力を有する事業者への委託を認めることで、専門人材の効率的な活用などにつなげる方向。

 また、50キロワット未満の太陽光について、保安確保のための仕組みを構築する方針。これまでは電気主任技術者の届出などが求められておらず、自発的な取り組みに委ねられていた。事業者によって保安意識や保安能力に差があることなどが問題だった。今後は供給力としても期待されることから取り組みを強化する。

 22日の会合で、太陽光発電協会は「地域共創エネルギー推進委員会」を新たに立ち上げ、事業者側でも50キロワット未満太陽光の保安について、対応を検討する方針を示した。

 これまで設置された設備を調査し、悪質な場合は運転停止などの厳格な対応も想定する。

電気新聞2021年4月22日