東京電力ホールディングス(HD)は、福島第一原子力発電所で3号機使用済み燃料プールの燃料(566体)取り出し作業が完了したと2月28日に発表した。4号機(1535体)に続く大きな成果で、炉心が溶融したプラントでは初めて。遠隔操作でがれきを撤去しながらの難しい作業だった上に、品質面の問題、機器の不具合も発生したが、改善や訓練を重ねて中長期ロードマップで目標としていた2020年度中の完了を達成した。
取り出し作業は、原子炉建屋上部に設置したドーム型カバーの中で行った。18年度中頃に作業を開始する予定だったが、燃料取り扱い機(FHM)、輸送容器を上げ下ろしするクレーンで不具合が相次ぎ、原因の究明と対策に時間を要したことから、19年4月にずれ込んだ。
がれきが落下した影響で、ハンドルが変形した燃料、持ち上げにくい燃料も見つかったが、吊り上げ確認や専用のつかみ具の製作などによって克服。2月28日午後、最後の6体を輸送容器から共用プール燃料ラックに移送して作業を終えた。
東電HDはこれまでのプール燃料取り出しを通じて、遠隔操作、プール内のがれき対応、機器の品質保証体制などに関する知見、教訓を蓄積しており、1号機(392体)、2号機(615体)にも生かす考え。1号機は27~28年度、2号機は24~26年度の取り出し開始を目指す。
電気新聞2021年3月2日
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