国土交通省は、インフラ分野におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に向け、行動計画を策定する。これまで、国交省の各部局がそれぞれ検討してきた関連施策を一覧にまとめ、デジタル技術の長期的な導入見通しなど方向性を打ち出すのが狙い。2022年度予算案への反映を念頭に、今後省内横断の会議で素案を示す予定だ。

 国交省の幹部らで構成する「インフラ分野のDX推進本部」(本部長=山田邦博技監)の1月29日の会合で、事務局がアクションプランを取りまとめる考えを明らかにした。

 例年だと6月頃に閣議決定される骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)を目安に、22年度予算案への反映を見据えて今後詳細を詰める。推進本部の次回会合で事務局が案を提示し、議論する予定だ。

 具体的には、(1)行政手続きなどサービスの変革(2)ロボットや人工知能(AI)による現場の安全性・効率性向上(3)デジタルデータを活用した仕事のプロセスや働き方の変革(4)DXを支えるデータ活用環境の実現――の4項目で構成する。

 29日の会合では、項目ごとの各施策について、25年度までの大まかな工程を提示した。例えば、現場の安全性向上については作業員の負荷を減らすことを目的に、視覚や判断を補助するパワーアシストスーツの導入を明記。21年度から20カ所の現場で試行する目標などを掲げた。

 また、人の判断・操作によるところの大きい機械施工に関しても5G(第5世代移動通信方式)、AIなどの革新技術を取り入れ、機械の自動化を促進。生産性向上につなげる。21年度に産学官協議会を設置し、ロードマップの素案づくりに取り組むとした。

 国交省では、「コロナ禍によって政府全体でDXを進める機運が高まっている。アクションプランでは、各部局で検討を行っているDX関連施策に横串を通し、最終的な絵姿を描きたい」と話している。

電気新聞2021年2月5日