アプリでは混雑情報がリアルタイムで確認できる

 関西電力は、富山市中心街において、人の流れなどのデータを収集してスマートフォンへ発信し、新型コロナウイルス感染防止策につなげる実証実験を始めた。通信アプリのLINEで、富山駅周辺や中心街の混雑状況などの情報をリアルタイムで公開する。同社は富山市なども参画する産学官連携のプロジェクトを主導。第1弾として今回、コロナ禍における市民の安全・安心な移動を支援する取り組みを進める。

 同プロジェクトは総務省の「データ利活用型スマートシティ推進事業」の採択を受け、関電を中心に富山市など産学官12団体で実施する。2020年度はLINEを活用したおでかけ支援サービス「シエマル」の実証実験を行う。

 シエマルは、1月に開かれたアプリ開発のコンテストで最優秀賞を獲得した富山県内の大学生チームが開発。混雑予報をキーワードにシステム設計を行い、外出時の「安全な移動」を支援するツールを目指す。

 実証では富山駅、富山駅バスターミナル、富山市立図書館、多目的広場「グランドプラザ」など市内でも混雑するエリアに赤外線センサーを設置。計測した人流データを収集し、混雑情報、予測情報などをLINEを使って配信する。新型コロナ感染防止策としての有効性を確認する。

 さらに今年度は、「スマート空調」を目指した公共施設での高度エネルギーマネジメントの実装にも取り組む予定だ。富山市庁舎でエネルギー使用状況のデータなどを分析した上で、人流センサー、湿度センサーを配置。人工知能(AI)を活用し、人の分布状況などから風量・温度、給排気などを小まめに制御し、空調コスト削減や環境負荷の低減につなげる。

 関電はデータ利活用型のスマートシティー実現に向け、来年度以降も様々な検証を行っていく計画。「多様な企業・団体と連携しながら、地域社会に貢献していく」(関電北陸支社)としている。

電気新聞2021年2月22日