Jパワー(電源開発)は、経済成長や二酸化炭素(CO2)排出削減を視野に入れ、発電所を建設するオリジナルのオンラインカードゲームを出前授業で活用している。「エネルギー大臣」として国の優先政策を定め、電気料金の安さやエネルギー自給率の高さ、環境負荷の低さなどの合計点で勝敗を決める。電源の特性やエネルギー・環境問題に関心を持ってもらうため、2011年から同社の出前授業に取り入れている。従来はカードを机に並べて対戦する形式だったが、新型コロナウイルス対策の一環として、昨年秋からオンラインゲームにした。
ゲームの名称は「エネルギー大臣になろう」。与えられた条件を踏まえながら、限られた予算で決められた数の発電所を建設していく。建設計画は1回のゲームで2度策定する。勝敗の鍵を握るのが約20種類のイベントカードだ。
経済危機のほか、化石燃料が高騰する「戦争」「カーボンプライシング(炭素の価格付け)」、設備稼働率向上やCO2削減につながる「技術革新」などがある。リスクを想定し、発電所を建設することがポイントになる。パリ協定を連想する「環境優先政策導入」をイベントに入れるほか、発電単価を調整するなど、近年の情勢を踏まえて改良している。
昨年12月末に秋田大学で開いたワークショップではこのゲームを活用。国際資源学部の学生45人が9チームに分かれ「閣議」を通じて国のエネルギー政策を話し合った。
ゲームを終えた学生からは「経済性と環境性の両立の難しさを実感した」といった感想が聞かれた。Jパワー社員との意見交換では「菅政権が打ち出したカーボンニュートラル政策をどう受け止めているか」と率直な質問をぶつけていた。
電気新聞2021年1月29日
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