地下環境の科学的特性を示した経済産業省資源エネルギー庁作成の科学的特性マップ

 原子力発電環境整備機構(NUMO)は11月18日、北海道寿都町、神恵内村を対象に、高レベル放射性廃棄物最終処分地選定に向けた「文献調査」の作業を開始した。17日に国から事業計画変更の認可を受け、NUMO職員が東京都港区のオフィスで各種文献の確認を始めた。時期は未定だが、今後は両町村に広報機能を備えた対話活動の拠点が設けられる見通し。文献調査の進捗状況や地域の発展ビジョンなど幅広い情報を住民と共有し、コミュニケーションを図る。

 経済産業省から17日午後5時半頃に認可の連絡があったため、実際の作業は18日に始まった。認可に合わせ、NUMOは調査の位置付けや項目、進め方などを記載した両町村の文献調査計画書を公表した。

 文献調査では、地域の地質などに関する文献・データを調査する。科学的特性マップの作成には、全国規模で整備された文献を使ったが、個別地域の文献は用いていない。『活断層詳細デジタルマップ』といった原子力発電所の新規制基準適合性審査でも引用される文献・データなどを用いて調査。明らかに適切でない場所を除外しつつ、今後の概要調査地区の候補を検討するとともに、技術的な観点や経済社会的な観点からも検討する。

 こうした資料は都内で入手できるため、机上調査は基本的にNUMOの東京オフィスで行われ、現地でのボーリング調査なども実施しない。

 また、文献調査は対話活動の一環として位置付けられる。NUMOは両町村と協議し、対話の場を設ける方針。地層処分の事業内容や文献調査の進捗状況・結果、地域産業に与える影響などを提示し、賛否どちらの立場からでも幅広い議論を促す。

 両地域の経済発展ビジョンについては、交付金だけでなく多様な支援制度についても情報提供することで、両町村の具体的な取り組みを支援する。

 こうした文献調査の期間は2年程度とされているが、初めての試みとなるため、経産省・資源エネルギー庁からは終了時期の感触がまだ得られないといった声が聞かれる。

電気新聞2020年11月19日