千代田化工建設など5者は9日、大気中に含まれる二酸化炭素(CO2)を回収し、資源化する技術の研究開発に着手すると発表した。回収したCO2と水から、プラスチックなどの原料となるエチレンを製造する。2025年まで基礎研究を行い、27年に年間数十トン規模のCO2を処理できる実証プラントの稼働を目指す。

 研究開発は50年までに持続可能な資源循環を実現する、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト「ムーンショット型研究開発事業」の一環。NEDOは今回、千代田化工など5者を同事業の委託先に採択した。

 委託期間は29年度まで。研究開発では再生可能エネルギーを動力源に排ガスや大気中のCO2を回収・濃縮する。そのCO2を電気分解で還元し、エチレンを作る。

 東京大学がプロジェクトを取りまとめ、千代田化工は実証プラントを開発する。古河電気工業と宇部興産はCO2の還元に使う触媒、清水建設はCO2回収・濃縮装置を手掛ける。

 大気中のCO2を人工的に回収する技術は「DAC」と呼ばれ、温室効果ガスの排出を抑えるものとして注目を集めている。一方で大気中のCO2濃度は約0.04%と非常に低く、DACの実現には大量のエネルギーが必要になる。5者の研究開発ではDACの省エネルギー化やコスト低減にも取り組む。

 経済産業省は19年6月に策定した「カーボンリサイクル技術ロードマップ」の中でCO2を有用な物質に転換することで温室効果ガスの排出を抑える方針を掲げた。これを受け、NEDOはカーボンリサイクル技術の開発に取り組む企業や大学の支援を加速している。

電気新聞2020年9月10日