新技術「CO2-TriCOM」を使って、石炭灰(中央)、電柱廃材(右)、二酸化炭素から生成した焼結体(左)

 中国電力、広島大学、中国高圧コンクリート工業(広島市、吉岡一郎社長)の3者は14日、共同研究中のカーボンリサイクル技術「CO2―TriCOM(シーオーツートリコム)」が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の公募事業に採択されたと発表した。石炭火力発電所から発生する二酸化炭素(CO2)や石炭灰などを、水はけの良い土木工事用資材としてリサイクルする技術を開発していく。2022年度までの研究費用はNEDOが全額負担し同技術の確立を目指す。

 「CO2―TriCOM」は、CO2、石炭灰、電柱廃材から出たコンクリート粉の3つを混ぜ、マイクロ波で加熱。CO2を吸収した焼結体を生成する技術だ。マイクロ波を使ってCO2を吸収させる技術の開発に取り組むのは日本初。焼結体1トン当たりのCO2吸収量は、約60キログラムに上るとされている。

 焼結体の使用用途は緑化基盤材や軽量盛土、排水材と多岐にわたる。砂よりも軽量で、水はけや保水性が良いのが特徴だ。将来的には1立方メートル当たり千円~2千円ほどで販売することを目指す。

 今後の研究では、CO2吸収量の向上や、製造工程で消費するエネルギーの効率化を狙う。中国電力のエネルギア総合研究所(広島県東広島市)に小型プラントも設置し、焼結体の製造を行っていく予定。22年度以降は、30年以降の実用化を目指して、製造プラントのスケールアップなどを検討していく。

 石炭火力発電所は他の発電方法に比べて、CO2排出量が多いといった課題がある。中国電力と中国高圧コンクリート工業は、15年度からCO2吸収焼結体の開発を進めている。19年10月には「石炭灰利用・環境保全技術共同研究講座」を設置した広島大学も途中で加わり、3者で共同研究を進めている。

電気新聞2020年7月15日