東京電力リニューアブルパワー(RP)は、揚水発電所を活用した電力預かりサービスの提案を強化する。電力需要が低く電力が余った際に揚水発電所にためておき、供給力が不足した場合や卸電力取引市場の価格が高騰する際などに戻すことができる。現在、新電力10社と新規・継続の契約交渉を行っており、さらなる件数拡大に向けた営業も進めている。将来的には、太陽光発電の余剰分の吸収やVPP(仮想発電所)事業での協業も目指す。

 電力預かりサービスは分社化前から展開しており、これまでに新電力4社が利用した。東電RPと電力受給契約を結び、預かった電力のうち揚水ロス30%分を引いた70%を必要なタイミングで引き出せる。電力広域的運営推進機関(広域機関)には両者が計画を出すことになるが、当日計画のゲートクローズまでに変更することが可能だ。

 蓄電量を決めてキロワット当たりの料金を支払う仕組みだが、必ずしも通年ではなく、必要な月や需要が増える夏や冬に蓄電量を多めにすることも可能。顧客からのニーズは「1万~10万キロワットのゾーンが多い」(東電RP)という。

 電力預かりサービスを利用することで、市場価格のスパイクや不足インバランスが発生するリスクを抑えられる。現在は常時バックアップ(BU)の締切時間がスポット入札よりも前になっており、代替手段としての役割も期待できる。

 市場依存度が高い新電力だけでなく、自前の電源を持つ新電力も余剰分を揚水にため込んでおくことで、市場のリスクに備えられるほか、需要が下がった場合の出力抑制や市場への安値売却をしなくて済む。

 東電RPは、新たな事業として収益の拡大を目指すとともに、固定的なサービス料金を得ることで予見可能性を高め、収益の安定化につなげたい考えだ。

 将来的には蓄電機能を再生可能エネルギー事業でも活用し、再エネの導入拡大に貢献する。新電力や再エネのアグリゲーターと協業した事業展開を構想している。

電気新聞2020年8月3日

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