気象庁気象研究所、東京大学大気海洋研究所、国立環境研究所は22日、工業化以降の世界の気温上昇が2度に抑えられたとしても、国内の猛暑日(35度以上)の回数が現在の約1.8倍に増えるとする見通しを発表した。気象研究所の気候モデルを用いた計算を基に評価。温室効果ガス排出を削減する緩和策が進み、気温上昇を1.5度に抑えられたとしても、猛暑日が現在の約1.4倍に増えると予測した。今後、昨年7月のような記録的猛暑が頻発する可能性を示唆している。今回の研究では、「工業化以降」の起点を1850年とした。

 研究では、工業化以降の人為起源による温室効果ガス排出がなかったと仮定した場合の影響も明らかにした。日本上空の気温が昨年7月の値を超える確率を推定したところ、温暖化が進んだ実際の気候では20%、温室効果ガス排出がなかった場合はほぼ0%だった。研究チームは「地球温暖化を考慮しなければ、昨年のような猛暑は起こり得なかった」と評価している。

 昨年7月、日本列島は記録的な猛暑に見舞われ、同月の熱中症による死亡者数は千人を超えた。全国の猛暑日の地点数も過去最多を記録した。今回の研究結果を、気候変動の影響を軽減・回避する適応策の推進に役立ててもらう考え。
電気新聞2019年5月23日