経済産業省・資源エネルギー庁の「次世代技術を活用した新たな電力プラットフォームの在り方研究会」(座長=山地憲治・地球環境産業技術研究機構理事・研究所長)は10日開いた会合で、スマートメーター(次世代電力量計)に代表される電力データを利用する上でのルール整備を議論した。費用負担については送配電関連事業など公益性の高いものと、他産業でのビジネスに生かせるものを分け、託送収支上の扱いを区分することなどが提起された。

 電力データは運送業で活用することで宅配を効率化させたり、家電と人工知能(AI)を組み合わせ、運転の最適化を図るなど他業種での活用ニーズが高まっている。生活実態を踏まえ、防災計画の策定に役立てられる可能性もある。

 統計化されたデータは個人情報保護の観点から、一般送配電事業者を提供主体とすることが過去の審議会で整理された。同日の会合で、事務局は電力会社が持っているスマートメーターの情報を一元管理するために複数の民間企業によって設立された英国のDCCを例示し、日本でも中立的な組織を設け提供窓口としての機能を担わせることを提起した。

 一方、会計整理上、小売料金メニューの精緻化など送配電に関連した業務や、それによって得られた副産物を利用する場合は「電気事業」、それ以外は「付帯事業」に分類され、収益・費用も託送収支の内外に区分けされる。事務局は電力データの提供でも同様に公益性の高いものは託送費用で手当てし、他業種での活用と分ける必要性を指摘した。

 費用負担を巡っては、委員から事務局の提案を支持する声が上がる一方、託送収支の内外をどう配分するかは「慎重な検討が必要」との考えもあった。

 会合には、東京電力パワーグリッド(PG)とNTTデータが昨年11月に設立した有限責任事業組合「グリッドデータバンク・ラボ」が出席。コンビニエンスストアなど小売店の売り上げ予測精度の向上など、電力データ活用の可能性を展望した。

電気新聞2019年5月13日