◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆

◆簡素で安定的な基盤維持を

 ◇過度な規制や「べき」論は不要/自由な場が高い指標性生む

日本卸電力取引所(JEPX)は、2025年4月で取引開始から20周年を迎えた。これまで弊所活動に理解を頂き、協力いただいたすべての関係者に感謝する。本稿では筆者がこれまでの市場の経緯を振り返りながら、市場運営者として肌で感じた市場機能について述べる。

 日本国内では、2000年より電力の小売自由化が実現した。その後、05年に新規参入者の供給力不足を解消する一助として、欧米でいうところの『一日前市場(スポット市場)』を開設することになった。発電設備の売り希望と小売電気事業者(特定規模電気事業者)の買い希望をマッチさせる場であり、小売電気事業者が買いすぎた分を売る、いわゆる転売はできなかった。その後、一日前市場後の発電設備トラブルや需要増加に対応する場として、『当日市場(時間前市場)』を開設した。ただし、発電設備トラブルや需要の増加に即時に対応できる随時取引(ザラバ仕法)ではなく、託送可否判定の実施タイミングが計画可能なオークション方式を採用し、1日3回実施することとされた。

 東日本大震災を契機に電力システム改革が実行され、市場関係では、実同時同量制から計画同時同量制(バランシング・グループ=BG制)に変わった。この変化をもってスポット市場での転売が可能となり、電力売買の流動性が高まった。BG制導入後、連系線利用方法についても非経済的な割り当て方法である先着優先(早いもの順)方式が見直され、連系線の利用はすべて市場に委ねる、いわゆる間接オークション方式となった。これによってさらに取引量は増加することとなった。

 時間前市場では、電力広域的運営推進機関の設立と、託送可否判定(連系線利用登録)のシステム化によって、随時の託送可否判定ができることとなり、オークション方式からザラバ仕法によって取引を実現することが可能となった。

このスポット市場と時間前市場の整備によって、ようやく電力市場の基盤が欧州と肩を並べる規模になったといえる。