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◆取引所が果たすべき使命

 取引所は取引の基盤として、簡素化することが肝要である。取引の高度化は取引参加者の利益追求の結果としてなされるものであり、取引所があるべき姿を描き、その方向に導くものではない。ましてや、そのあるべき姿を欧米諸国の事例に求めるべきではない。取引参加者が自ら中長期の創意工夫や投資を行いやすいよう、簡素な基盤をある程度守り続けることが必要である。

 昨今、電気事業の予見性確保を求める議論がなされている。取引所の将来価格ほど不確かなものはない。だからこそ安定化策を講じる必要性が生じ、その引き受けが一つのビジネスとして成立するのであり、その不確かさに起因する予見性のずれが、取引の流動性を生む。国が予見性を保証する(将来収入を約束する)制度は一時のブームとはなるが、事業の持続的な発展にはつながらない。

 電力の取引は30分単位で実施される。経済発展、気温、天気等は絶えず変化しており、同じ状況での取引は二度とない。取引参加者はその都度、利益最大化に向けた最大限の努力が求められる。この努力のぶつかり合いが取引であり、その結果である価格は高い指標性を持つことになる。

 市場を巡る課題の解決策として同時市場の創設が議論されている。議論を深めていくことはもちろん必要であるが、現行制度の延長線で解決できる努力を怠ってはならない。その代表例はBG制の徹底である。BGが計画同時同量をしっかり順守することによって必要調整力が整理、低減され、調達費用の効率化につながる。先に記したインバランス制度の抜本見直し(ペナルティー要素の加味)を含め、BG制を前提とした託送制度(託送約款の再定義)の見直しが必要である。

 日本が採用したBG制の効果が発揮されるよう各制度を調整した上で、事業の発展を見ていく必要があると考える。本取引所の使命は、その基盤として、理解しやすい単純なルール、システムによる取引の場を安定して提供し続けることである。繰り返しになるが、各事業者がその場を利用し、競争にしのぎを削ることで、市場の発展、事業の発展がなされていく。

電気新聞2025年6月16日

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