北陸電力は27日、富山新港火力発電所(富山県射水市)で、LNG2号機建設計画の検討を開始したと発表した。出力約60万キロワットの高効率ガスタービン・コンバインドサイクル発電設備の導入を予定しており、2033年度の運転開始を目指す。これに合わせ、富山新港に立地する、石炭2号機(25万キロワット)と休止中の1号機(重油・原油、24万キロワット)は廃止する計画。また、24年度に廃止を予定していた富山新港石炭1号機(25万キロワット)については、短期的な供給力確保の観点から、廃止時期を28年度に延期するとした。

 同日、環境影響評価法に基づく計画段階環境配慮書を経済産業相と富山県知事に送付し、環境評価手続きを開始した。きょう28日から3月31日まで県庁などで縦覧できるほか、北陸電力ホームページでも公表される。

 北陸電力による火力新設は18年11月に運開した富山新港LNG1号機(42万4700キロワット)以来で、同社2基目のLNGプラント導入となる。現在、富山新港は石炭、重油・原油、LNGの燃料3種のユニットがそろう国内唯一の火力発電所となっている。LNG2号機が運開した場合、LNGの2プラントに、LNG焚きも可能な2号機(重油・原油、50万キロワット)を加えた3基体制、合計出力152万4700キロワットとなる見込み。

 投資額は検討中のため未定。LNG調達方法についても併せて検討を進める。長期脱炭素電源オークション活用の検討について、同日会見した林政義・常務執行役員は「現時点で申し上げるべきではない」と述べるにとどめた。

 林常務は、石炭からLNGへの置き換えにより、年間約200万トンの二酸化炭素(CO2)削減効果が見込めると説明。「安定供給を維持しながら、より排出係数の少ない電源に置き換えていくことが必要」との認識を示した。

 24年度を予定していた石炭1号機の廃止時期を28年度に見直したのは、供給力のベースロードを担う志賀原子力発電所2号機で原子力規制委員会による新規制基準適合性審査が続いており、十分な供給力を確保できない可能性があるため。志賀2号機については昨年1月の能登半島地震を踏まえた、海域活断層の連動長さの見直しなど新たな論点も浮上している。

 同地震の影響で七尾大田火力発電所1、2号機(石炭、計120万キロワット)が長期間の停止を余儀なくされたこともあり、安定供給の確保には、今後も石炭1号機の活用が不可欠と判断した。廃止時期を28年度としたことについては、29年度には他社調達も含めた供給力の確保が見込めるため、と説明している。

電気新聞2025年2月28日