
東京電力パワーグリッド(PG)は、配電用の6万6千V変圧器の基礎工事にかかる期間を6割強短縮できる工法を開発した。従来は型枠・鉄筋の組み立てやコンクリートの打設・養生を現地で行っていたため、40日を要していた。新工法ではコンクリート構造物を工場で作ってから現地に運び、据え付けることで15日に減らせる。2024年度に本格適用を始めた。
工事費用は1割ほど増えるものの、変電所の停止期間を短くできるため配電系統の信頼度向上と託送収入の増加につながる。加えて人手不足に拍車がかかって職人の手配が難しくなっても、工事に制約が生じにくくなる。
基礎の重量は全体で20トン超。新工法では、まず5つのコンクリート構造物を外部企業の工場で製作し、現地に運び込んでから接続する。5分割することで運搬、据え付けを容易にする。
接続に用いる継ぎ手は、強度確認を重ねて当初の32個から12個に減らした。変電機器と接する面を水平にする工程についても、水のように流動性が高いコンクリート材料を採用することで工期を短縮している。
従来の基礎工事は全体40日のうち、型枠・鉄筋の組み立てに7日、コンクリートが硬くなるまで管理する養生に28日を要していた。
新工法はこれまでに変圧器7基に適用されている。試験適用は21年度に土気変電所(千葉市)で始めた。継ぎ手数を12個に削減した後の本格適用は、24年度に常陸大宮変電所(茨城県常陸大宮市)で開始している。
並行して水平展開にも乗り出した。15万4千V遮断器に採用しており、これまでに新富士変電所(静岡県小山町)の2基で導入実績がある。他の変電機器や送電鉄塔の基礎などへの適用も検討している。
開発・製作で東電設計とフジミ工研、現場検証でタツヲ電気と藤崎電設、東電同窓電気が協力した。
東電PGは、工事件数が比較的多い6万6千V変圧器の基礎を対象に、18年度に規格を統一して設計作業を不要にしている。これに続いて施工の効率化策も検討してきた。
電気新聞2024年12月17日