◆エネ基踏まえた新戦略も模索
2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、エネルギーの在り方は大きな変革期を迎えている。データセンターや半導体工場の増加などにより、世界の電力需要は増加基調が続くという見通しも確度が高いものになってきた。メーカー各社はこうした環境変化にいかに適応しようとしているのか。各社が経営戦略を具体化して実行するために策定した中長期の経営計画を改めて読み解き、そのポイントや進捗状況を紹介する。
東芝は2023年12月、「物言う株主」との対立などに起因する混乱から脱し、経営の自由度を高めるために非上場化した。現在は国内投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)陣営の下で再建を目指す。目下の課題は「稼ぐ力」の立て直しだ。
19~23年度を対象とした前中期計画「ネクストプラン」では、23年度の連結売上高4兆円、営業利益率10%を目標に掲げた。初年度は順調な滑り出しを切ったに見えたが、トップラインを伸ばそうと設備投資や研究開発費を投じたことがたたって固定費が増加。質の悪い案件に手を伸ばした影響もあり、損益が悪化した。
その結果、23年度の営業利益は399億円と下振れ、営業利益率も1.2%と厳しい業績になった。固定費は1兆925億円と、売上高に対して33.2%を占め、利益水準を引き下げる大きな要因となった。
24~26年度の新中期計画となる「東芝再興計画」は、この反省が出発点になっていると言える。島田太郎社長は新中計を発表した会見で「改革の断行を通じて早期に営業利益率10%を達成し、会社を成長軌道に回帰させる」と力を込めた。
初年度は固定費を削減して損益分岐点売上高を引き下げることに集中する。そのために最大4千人の早期退職を募る。26年度の固定費は23年度比で5%減を目指す。