中部電力は25日、太陽光発電の自家消費サービスを2月から始めると発表した。新サービスは中部電力が顧客の店舗や工場の屋根に太陽光発電設備を設置し運営する。屋根を貸した顧客は、その電気を初期投資ゼロで利用(自家消費)できる。中部電力は対価として顧客から毎月サービス料を徴収する。顧客は系統電力のみを使う場合と比べて、サービス料を負担した上でも年間の電気料金が3~5%抑えられる利点もある。

 同社は省エネを推進したい事業所や再生可能エネルギーへの関心が高い顧客の囲い込みに生かす。新サービスは太陽光パネルの設備容量で100キロワット以上を設置でき、屋根面積が700平方メートル以上ある事業所などに導入メリットがある。主に郊外の大型スーパーや飲食店、工場を想定。毎月のサービス料は顧客と相対で決める。まず中部5県で開始し、関東や関西エリアへの進出も視野に入れる。

 中部電力は、顧客の事業所などの屋根に設置した太陽光発電設備を所有・運営する。設置工事や保守は、資本業務提携している小売電気事業者のLooop(東京都台東区、中村創一郎社長)などが手掛ける。太陽光発電設備の新設を検討する事業所が対象。既存の設備を中部電力が買い取って運用することは想定していない。

 25日に名古屋市で会見した大谷真哉・中部電力執行役員・販売カンパニー事業戦略室長は、「既に数社から引き合いが来ている」と述べた。同社は今後、戸建て住宅などの屋根でもビジネスが成り立つかを検証し、1~2年後をめどに家庭用にも参入するか決める。

 同社は25日に二酸化炭素(CO2)フリー電気料金メニューを4月に出すことも併せて発表。料金単価などは「検討中」(大谷氏)、同メニューによる電力供給は7月から始める。電源は同社の水力発電やFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)に基づく買い取り期間を終えた太陽光発電などで賄う。

電気新聞2019年1月28日