東電HDの銚子沖にある洋上風力発電設備。1月から商用運転を開始した
東電HDは銚子沖にある洋上風力発電設備で実証を行ってきた。同設備は1月から商用運転を開始した

 東京電力ホールディングス(HD)と洋上風力発電事業で世界最大手のアーステッド(デンマーク、ヘンリク・ポールセンCEO兼社長)は18日、洋上風力事業での協力に向けた覚書を締結したと発表した。東電HDが有望地点としている千葉県銚子沖での洋上ウインドファーム実現に向けた検討をはじめ、国内外での洋上風力の事業機会の検討などで協働する。

 東電HDは再生可能エネルギーの主力電源化に向けて、国内外で600万~700万キロワット規模を開発する目標を掲げている。このうち、洋上風力については国内、海外ともに200万~300万キロワット程度の開発を目指している。

 アーステッドは、ガス・石油開発事業のために1972年に設立されたデンマークの国営企業。91年に世界初の洋上風力発電所を設置して以降、世界の洋上発電業界を牽引している。現在では欧州を中心に25カ所以上・総出力500万キロワット以上の洋上風力設備を保有。米国や台湾でも大規模洋上風力発電プロジェクトの開発を進めている。

 東電HDは、アーステッドが洋上風力の開発から建設、運転、保守に至るまでの技術・技能を自社で内製化しており、それで培ってきた高いコスト低減力、洋上風力事業での経験に期待する。アーステッドに対しては、銚子沖での洋上風力実証研究を通じて蓄積してきた日本固有の自然条件に関する知見や、国内電気事業の経験を提供し、相互補完を図る。

 両社は、まず銚子沖における洋上ウインドファーム開発実現に向けた検討を進める方針。その上で、コスト低減や自然条件への対応、環境との調和、地域との共生、関連産業の育成といった要素を兼ね備えた国内での洋上風力事業モデルを創造するとともに、海外での事業展開も目指す。

 今回の覚書締結に当たり、東電HDの小早川智明社長は「銚子沖地点での(ウインドファーム)実現に、より近づくものと確信している」とコメント。アーステッドのポールセンCEO兼社長は「アジア太平洋地域で、日本が洋上風力市場をリードすることに貢献していくためのアーステッドと東京電力の構想の第一歩となる」としている。

電気新聞2019年1月21日