高松丸亀町商店街のG街区
高松丸亀町商店街のG街区

 全国に先駆けて人口減少と少子高齢化が進む四国。これらの課題は構造的なもので、一朝一夕には解決できない。だが、それぞれの立場で課題に向き合い続ける人たちもいる。高松市中心部の高松丸亀町商店街はシャッター通り化の流れにあらがい、腰を据えて再開発に取り組んでいる。その成果は全国的にも注目を浴び、先月6日には経団連幹部も視察に訪れた。

 高松丸亀町商店街はJR高松駅から徒歩15分の距離。南北に伸びた470メートルほどのアーケード商店街だ。他のアーケード商店街とつながり、総延長2.7キロメートルの高松中央商店街を形成している。

 地方都市の中心市街地にある商店街は、全国的に衰退が続いている。その要因は複合的で一概には言えないが、バブルの影響も一因だ。地価の上昇により居住者が街を去ったのだ。

 高松丸亀町商店街振興組合によると、同商店街ではかつて約1500人いた居住者が一時70人余りまで減った。これに伴い飲食店が撤退するなど、テナントに偏りが生じた。バランスが崩れ、街全体としての魅力が失われた。このため、再開発では商店街をA~Gまでの7街区に分け、A街区はセレクトショップゾーン、B街区は飲食店ゾーンというようにそれぞれ異なる役割を持たせた。

 だが簡単には実現できなかった。何より困難なのは関係する地権者の意見調整だ。そこで、定期借地により土地の所有と使用を分離し、地権者の共同出資会社が一括して土地の使用権を持つ形を取った。

 A街区が06年に竣工したのを皮切りに、これまで4街区の整備を終えた。残り3街区は来年度から着手する計画。街の再生はいまだ現在進行形だ。

高松市丸亀街商店街を視察する経団連幹部ら
高松市丸亀街商店街を視察する経団連幹部ら

 先月6日には、四国経済連合会との懇談会のため高松市を訪れた経団連幹部らが同商店街を視察した。案内役を務めた同商店街振興組合の古川康造理事長は、「郊外型の大型店舗から“客”を取り戻すのではなく、“居住者”を取り戻す」と繰り返し強調していた。そのため、商店街の上層階に高齢者向けマンションも設けた。診療所も整備し、入院施設は置かない代わりにマンション各戸へ往診を行っている。

 単なるシャッター商店街の再生にとどまらず、生活の場づくりを志向する同商店街。地方再生に向けたヒントが見つかりそうだ。

電気新聞2019年1月10日