連日の猛暑で中部エリアの電力需要も今夏最大を更新した(18日午前の名古屋・栄付近)
連日の猛暑で中部エリアの電力需要も今夏最大を更新した(18日午前の名古屋・栄付近)

 猛暑で電力需要が伸びている。連休明けの17日と18日も全国各地で最高気温が35度を超える猛暑日となり、東京、中部、関西エリアの最大電力が連日、2016年4月の電力小売り全面自由化以降の最大記録を更新した。10エリア計の最大電力も最大記録を連日上回った。電力使用率は関西で17日に95%に上がり、東京、中部なども90%を超えた。少なくとも月末まで、この暑さは続く見込み。需要の動向が注目される。

 暑さは連休中の14日から本番を迎えた。日本気象協会によると、太平洋高気圧とチベット高気圧という2つの高気圧が重なり合い、列島上空を覆っていることが猛暑の要因だ。17日は全国927地点のうち149地点で、18日は185地点で猛暑日を記録。岐阜県多治見市では18日午後2時半に40.7度を観測した。国内で40度を観測したのは5年ぶり。

 猛暑で冷房需要も伸び、東京エリアの最大電力は17日午後2時台に5462万1千キロワット、18日午後2時台には5574万キロワット(速報値)を記録。7月中旬の段階で、全面自由化以降最大だった昨年8月9日の5382万5千キロワットを上回った。中部エリアの最大電力も17日午後2時台に2536万7千キロワット、18日午後2時台に2596万キロワット(速報値)となり、16年8月の2490万8千キロワットを連日更新した。

 関西エリアは17日午後2時台に2767万600キロワット、18日午後2時台に2856万キロワット(速報値)の最大電力を記録し、16年8月の2656万8809キロワットを超えた。中国と四国エリアも16年以降の最大に近い水準まで需要が伸びた。その結果、10エリア計の最大電力は17日に1億5995万キロワット、18日に1億6332万キロワット(速報値)となり、16年8月の記録である1億5584万5356キロワットを塗り替えた。

 東日本大震災後は節電が浸透し、夏季の最大電力は減少に向かった。16年の全面自由化を境に最大電力はエリア需要を集計する方式に変わったため、全面自由化以前と以降で数値を単純に比較はできないが、16年以降の数値だけをみれば徐々に持ち直している。

 今夏も電力各社は予備力を確保して安定供給を維持している。だが、太陽光発電の導入量が多い九州エリアは太陽光の出力が落ちる夕方の点灯帯の需給調整が厳しい。7月の複数の日で午後6~7時台の電力使用率が90%を超えており、太陽光の普及が需給状況に変化をもたらしている。

 電力広域的運営推進機関(広域機関)が7月第2週に策定した週間需要予測では、月末にかけて、各エリアの最大電力は17、18日の水準には達しない見通し。ただ、「全国的に暑い日が月末まで続く見込み」(日本気象協会)のため、需給状況には引き続き注意が必要だ。気象庁は8月上旬まで気温の高い状態が全国的に続くと予測しており、需要の推移が注目される。

電気新聞2018年7月19日