燃焼機の初着火に成功した超臨界CO2サイクル火力の実証機
燃焼機の初着火に成功した超臨界CO2サイクル火力の実証機

 東芝エネルギーシステムズは、排ガスから回収する二酸化炭素(CO2)でタービンを回す次世代火力プラント実証機向け燃焼器の初着火に成功した。実証機の名称は「超臨界CO2サイクル火力発電システム」。東芝エネシステムズは今回の燃焼試験で得られたデータを基に技術を確立し、30万キロワット級プラントの商用化を目指す。初着火に成功したことで商用化に向けて大きく前進したといえる。

 初着火に成功した実証機は米ネットパワー社がテキサス州で建設した2万5千キロワット級のプラント。今回は30万キロワット級商用プラントに組み込む燃焼器と同じサイズのもので燃焼試験を行い、着火に成功した。この実証機の主要機器である高温高圧タービンと燃焼器は東芝エネシステムが担当。今回の燃焼試験で使った設備も東芝エネシステムが請け負っている。

 今後は燃焼試験を続けて燃焼器の性能評価と実証機の基本的な運用性を確認。今年度下期には燃焼器を実証機のタービンに組み込む。タービンと燃焼器を含めた次世代火力システム全体の性能と運用性、信頼性も検証。これらの試験で得たデータを基に技術を確立し、30万キロワット級プラントとして早期の商用化を目指す。

 超臨界CO2サイクル火力発電システムは天然ガスや石炭ガス化ガスを燃料に用いるプラント。排ガスから回収したCO2を燃焼器に戻し入れ、燃料と酸素を燃やしてCO2を加圧。高温高圧となったCO2が再びタービンを回して発電する。発電効率は、ガスタービン複合火力(GTCC)と同等だという。

 CO2をプラント内で循環できるほか、新たに発生したCO2は純度が高くて高圧なのでパイプラインでそのまま送って地中に貯留できる。空気から分離した酸素を燃焼時に使うため窒素酸化物(NOx)も発生しない。温暖化防止と環境負荷の低減に役立つ発電方式だ。

 東芝エネシステムズは2012年にネットパワー社など3社と共同で超臨界CO2サイクル火力発電システムを共同開発することで合意。主要機器となる高温高圧タービンと燃焼器の開発を担当することになった。

電気新聞2018年6月18日