北豊富変電所で行われたテープカット式
 

 北海道北部の陸上風力で発電した電力を送る送変電設備と、世界最大規模の蓄電池システムの完成を祝う式典が16日、北海道豊富町で開かれた。道北部は風力発電に適した風が吹く一方、送電網の整備が課題だったが、設備完成によって風力発電の導入拡大に道が開けた。風力発電の出力変動は、出力24万キロワットのリチウムイオン電池で調整する。

 送変電設備と蓄電池は、ユーラスエナジーホールディングス(HD)子会社の北海道北部風力送電(北海道稚内市、吉村知己社長)が2018年度から整備。今年の3月15日に完成した。建設費用は国の補助金を含め1050億円。送電線は稚内市と中川町を結ぶ78キロメートルで、北海道電力ネットワークが同町に建設した西中川変電所で系統に接続する。

 ユーラスエナジーHDなど3社は、稚内市、豊富町、幌延町で25年度までに出力54万キロワットの陸上風力8カ所を整備。計127基の風車を設置する。

 風力発電所建設にあわせて大容量蓄電池を整備。風の強弱に伴う風力発電の出力変動に応じて蓄電池が充放電し出力を一定に保つ。

 北海道北部風力送電が整備した北豊富変電所で16日に行われたテープカット式の後、取材に応じたユーラスエナジーHDの諏訪部哲也社長は「道北エリアはまだまだポテンシャルがある。風況に恵まれ、なだらかで広大な土地に(風力発電を)大規模に展開でき、安価な再生可能エネルギー電源をつくりだせる」と強調した。

 同日は、今月中に商業運転を始める川南ウインドファーム(稚内市、豊富町)で、直径120メートルの風車が報道陣に公開。23年度には、川南を含め3発電所が運転を開始する。さらに24年度に3発電所、25年度に2発電所が運開する予定。完成すれば、北海道の風力発電導入量は都道府県別でトップに立つ見込み。

電気新聞2023年5月17日